円安トレンドの転換点
1: FX2ちゃんねる 2015/08/14(金) 22:34:09.91 ID:???.net
リスクオフ局面での円売りという新しい流れが、外為市場で起き始めている。中国の人民元基準値引き下げにより、市場に警戒感が走る中、ドル/円JPY=EBSは一時上昇。「安全資産」の円を売るという、これまでとは正反対の動きがみられた。

同じアジア通貨の急落という今回の特殊事情によるものか、各国中銀の金融政策の変化から通貨ポジションの傾きが従来と異なってきているためなのか、市場の関心を集めている。

「一体、何が起こってるんだ」──。中国人民銀行が人民元の基準値の引き下げに動いた11日、ある外国金融機関のディーリングルームには、顧客からの問い合わせが相次いだ。従来ならば、リスクオフムードの高まりを受け、安全資産としての円が選好される場面だったが、人民銀の発表があった11日午前10時15分ごろに124.60円付近だったドル/円は、発表直後から強含みとなり、海外時間には125円台前半にまで上昇した。

「リスクオフなのにドル/円を買っていていいのか」(国内証券)との声も、市場では聞かれた。だが、翌12日も基準値が引き下げられると、125円ちょうど付近で横ばい推移となっていたドル/円は、大方の相場観に反し一段高となり、一時125.28円まで強含んだ。

人民元安に伴うドル高が、米早期利上げを後ずれさせるとの観測がその後強まったことでドル/円は下落し始めたが、これまでのセオリーと違う動きに、市場には戸惑いが広がった。

<ユーロ/円からの波及>
今回のリスクオフ下の円安について、市場では2つの見方がささやかれている。人民元下落の半面で、交易条件の悪化が見込まれるアジア通貨の一角として、円にも売り圧力が強まったというのが1つの見方だ。

一方、ユーロ/円EURJPY=EBSからの波及が、ドル/円に及んだという指摘も聞かれる。今回、円より先に買われた通貨はユーロだった。その一方、人民元基準値引き下げの直後に、各国の国債に分散投資する投資信託などによる、ドル売り/ユーロ買い、ドル売り/円買いの動きが出てはいた。ただ、こうした円買いも「ユーロ買い/円売りの方が激しかったために霞んでしまい、ドル/円の上昇に波及した」(みずほ銀行の参事役、加藤倫義氏)という。

今回のユーロ買いには、ユーロショートが積み上がっていたという面があった。米商品先物取引委員会(CFTC)が7日に発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(8月4日までの週)によると、ユーロ売り越しは11万3394枚で前週の10万4008枚から増加していた。ポジション整理の面が強いとすれば、ユーロ買い戻し一巡後は、再びリスクオフの円買いが復活する可能性がある。

実際、12日の午後は「ユーロの買い戻しが終わると、今度はリスクオフの円買いがドッと出て、ドル/円がようやく下がり始めた」(国内金融機関)という。

こうした動きは、今回の特殊な局面に限ったポジションの調整ではない可能性もある。低金利の通貨を借りて高金利通貨国に投資するキャリートレードで「主役が円からユーロに移行しつつある」と、みずほ銀の加藤氏は指摘する。ファンディング(調達)通貨として円よりユーロが選好されているとすれば、リスクオフ局面での最初のリアクションとして、円よりユーロが買われることが今後も多くなるとみられる。

2000年代は、日銀の低金利政策下で円キャリートレードが活発だった。だが、足元では、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を実施しているユーロの方が、追加緩和期待の盛り上がりに欠ける日本の円より、キャリートレードの調達通貨として選好されやすい面があると、IG証券のマーケット・アナリスト、石川順一氏は指摘する。

これまでの構図は、リスクオンは円売り、リスクオフは円買いとシンプルだった。しかし、今はリスクオフならユーロは対円でも買われるため、ユーロ買い・円売りの圧力と、対ドルでの円買いの圧力との綱引きになる。

リスクオフに際しては「ユーロと円の間でのレースになる。ショートポジションの積み上がりの大きい方が、買い戻しの勢いが出やすい」(IG証券の石川氏)という。足元のIMM通貨先物の投機部門の取り組みでも、ユーロの売り越し約11万枚に対し、円の売り越しは7万9716枚で、ユーロ売りの方が先行していた。人民元安をめぐる混乱が落ち着けば、ユーロは再び下落するとみられている。その分、ユーロショートも再び積み上がりやすい。

市場では「次のリスクオフ局面でも、ユーロが先行して買われた後に円が買われるという流れが出るのではないか」(国内金融機関)との見方も増え始めている。

http://jp.reuters.com/article/2015/08/14/yuan-r-idJPKCN0QJ0SL20150814

▼ こ の 記 事 の 続 き は こ ち ら か ら